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カビは浴室だけではない――夏の湿気から、家の壁を守るには?
1.雨なのに暑い。家が乾きにくい季節
今年は9月に入るころから、天気が悪いのに気温は30℃を超える、蒸し暑い日が続いたと感じます。
こんな時期に気になるのが、浴室のカビです。
「掃除をしたばかりなのに、また黒くなっている」
「換気扇を回しても、なかなか乾かない」←(換気扇を回さないほうが良いかも?)
そんな経験はないでしょうか。
カビを防ぐには、汚れを落とすだけでなく、湿った状態を長く続けないことが大切です。
そして、住宅をつくる立場として気になるのは、浴室だけではありません。普段は見ることのできない、壁の中の湿気です。
「外壁でふさいでいるのに、なぜ湿気が入るの?」と思うかもしれません。
水蒸気は、目に見えない小さな水の分子です。隙間から空気と一緒に入るだけでなく、材料そのものを通って、少しずつ移動することもあります。 通りやすさは材料の種類や厚さによって異なりますが、雨や風を防いでいるからといって、水蒸気まで止められるとは限りません。
だからこそ、壁の中についても、湿気がどう入り、どう乾くのかを考える必要があります。
2.26℃の部屋でも、壁の中まで安心とは限らない
夏、冷たい飲み物を入れたコップの外側に、水滴がつきます。
これは、周りの空気がコップに触れて冷やされ、空気中の水蒸気が水になったものです。
条件がそろうと、家の壁の中でも似たことが起こります。
外は暑くて湿気が多い。一方、室内はエアコンで冷やされている。外からの湿気が壁の中へ入り、室内に近い冷えた部分まで届くと、そこで水滴になることがあります。
これが「夏型結露」です。
例えば、30℃・湿度80%の空気は、およそ26℃まで冷やされると結露する条件になります。極端に冷たい場所でなくても、水滴ができる可能性があるのです。

ただし、これは説明のための例です。実際の壁で結露するかは、使う材料や壁のつくり、湿気の入り方によって変わります。外が蒸し暑いというだけで、壁の中が濡れているとは判断できません。
3.冬を守るシートが、夏には湿気の行き止まりに?
壁の中には、湿気を通しにくい「防湿シート」を入れることがあります。ベーパーバリアとも呼ばれるものです。
冬は、暖かい室内から冷たい屋外へ、湿気が移動しやすくなります。その湿気が壁の奥に入り込むのを抑えるため、室内側に防湿層を設けます。
住宅性能表示制度の「断熱等性能等級4」の評価基準にも、繊維系断熱材を使う場合、原則として室内側に防湿層を設ける規定があります。冬の結露を防ぐうえで、大切な役割があります。
ところが夏は、湿気が外から室内へ向かうことがあります。
すると、冬には湿気の入口をふさいでいたシートが、今度は入ってきた湿気の出口をふさぐ位置になる場合があります。そこで湿気がたまり、条件によっては結露につながるのです。
だからといって、防湿シートをなくせばよいわけではありません。冬の対策も必要です。
冬に役立つ仕組みが、夏にはどう働くのか。両方を考えて壁をつくることが大切です。
※防湿層の規定には適用条件や例外があります。すべての住宅に、同じシートを一律に張るという意味ではありません。
4.カビを防ぐには「入れない」と「乾かす」
浴室のカビと壁の中のカビは、原因が同じとは限りません。浴室にカビがあるからといって、壁の中にもあるということではありません。
ただし、共通する対策はあります。
水分が入り続ける原因を減らし、湿ったら乾くようにすることです。
浴室なら、水滴を取り除き、汚れを落とし、換気で乾燥させます。
壁なら、雨水を入れないことに加え、隙間から湿った空気が入り込むのを防ぎます。また、材料を通って少しずつ移動する水蒸気についても考えます。
さらに、万が一湿気が入っても、逃げられる道が必要です。

外壁の裏にある通気層は、そのために役立ちます。しかし、通気層があれば、どんな壁でも必ず乾くわけではありません。外の空気が湿っている時期や、途中に湿気を通しにくい材料がある場合も考える必要があります。
5.アメリカの「パーフェクトウォール」に学ぶ
こうした問題を考えるうえで参考になるのが、北米で紹介されている「パーフェクトウォール」です。

柱や壁の下地を、建物の外側から断熱材で包み、その内側で雨水・空気・湿気を防ぐというものです。
構造を支える部分を、外の暑さや寒さから守りながら、水分の入り方も管理します。
さらに、入ってしまった湿気を、どちらへ逃がして乾かすのかまで考えます。外へ逃がすだけでなく、室内側へ乾かすことも設計に含めます。
これは、防湿シートを室内側から外側へ移すだけの方法ではありません。断熱材の位置や厚さ、ほかの材料との組み合わせが重要です。
日本で使う場合も、そのまままねるのではなく、地域の夏と冬に合うかを確かめる必要があります。
学びたいのは、家を長持ちさせるために、水分をどこで止め、どこへ逃がすかを、壁全体で考える姿勢です。
6.冷房を我慢しなくてよい壁をつくる
夏型結露の話をすると、「冷房を控えたほうがよいの?」と心配になるかもしれません。
私たちが目指したいのは、冷房を我慢する暮らしではありません。
必要な冷房を使いながら、壁の中にも湿気をため込まない家です。
そのためには、断熱性能の数字だけでなく、雨や湿気への備えも確認しなければなりません。図面で考え、必要に応じて計算や測定で確かめることが大切です。
これから家を建てる方は、設計者にこう聞いてみてください。
「この壁は、冬の結露だけでなく、夏の湿気も考えていますか?」
難しい専門用語を覚える必要はありません。どう守り、どう乾かすのかを、分かる言葉で説明してもらうことが大切です。
浴室のように、壁の中を毎日掃除することはできません。だからこそ、見えない場所まで湿気に備える設計が、家の長持ちにつながります。
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- 宅地建物取引士












