スタッフブログ

staff blog

湿度を「%」で示すわけ、露点温度を意識しよう

空気は、温度によって含むことができる水蒸気の量が変わります。
暖かい空気ほど多くの水蒸気を含むことができ、冷たい空気ほど含める水蒸気の量は少なくなります。

この「空気が含むことのできる水蒸気の最大量」を、飽和水蒸気量といいます。

水蒸気を多く含んだ空気が冷やされると、空気中に含むことのできる水蒸気量が少なくなっていきます。
そして、実際に含まれている水蒸気量が飽和水蒸気量を超えると、余った水蒸気は水滴に変わります。

気温25℃の時、相対湿度75%の空気が含んでいる水蒸気は17.3g / ㎥となります。

気温が下がってきて、20℃となった時、飽和水蒸気量の曲線に触れます。露点温度です。

その後、気温が更に下がると、水が発生します。結露です。

この水滴が発生し始める温度を、露点温度といいます。

また、相対湿度とは、その温度の空気が含むことのできる最大の水蒸気量に対して、実際にどのくらいの水蒸気が含まれているかを割合で表したもの、だから%で示します。

つまり、同じ湿度70%でも、気温が高い空気ほど、実際には多くの水蒸気を含んでいるということです。
静岡の夏のように気温も湿度も高い場合、外の空気には非常に多くの水蒸気が含まれています。

そのため、夜に窓を開けて外気を取り入れると、温度を少し下げるつもりが、同時に大量の湿気を家の中に入れてしまうことになります。

窓を開けながら冷房していませんか?

夏の夕方や夜に散歩をしていると、多くの家で窓を開けて過ごしている様子を見かけます。

「夜になって外の方が少し涼しくなったから、窓を開けて風を入れよう」

そう考えるのは、とても自然なことです。

ところが同時に、エアコンの室外機が回っている家も少なくありません。
つまり、窓を開けて外気を入れながら、室内では冷房もしている状態です。

一見すると、外の涼しい空気を入れながらエアコンを使っているので、効率が良いように感じるかもしれません。

しかし、静岡の夏の空気で考えると、実際にはあまり効率の良い使い方とは言えません。

夏の外気は、たくさんの水蒸気を含んでいる

夏の外気は、気温が高いだけでなく、湿度も高い状態です。

暖かい空気は多くの水蒸気を含むことができるため、たとえ相対湿度が同じでも、気温が高い空気ほど実際に含んでいる水蒸気の量は多くなります。

つまり、夏に窓から入ってくる空気は、ただ暑いだけではありません。
大量の湿気を含んだ空気でもあります。

この空気が家の中に入り、エアコンに吸い込まれると、エアコンはまずその空気を冷やします。

空気が冷やされて露点温度に達すると、空気中に含みきれなくなった水蒸気が水に変わります。
これが、エアコンから出る結露水です。

夏にエアコンのドレンホースから水が流れているのは、室内の空気に含まれていた水蒸気を、エアコンが水に変えて外へ排出しているからです。

エアコンは「温度を下げる」前に「湿気を水に変えている」

窓を開けたまま冷房すると、外から次々に湿った空気が入ってきます。

エアコンは、その空気を冷やすたびに、空気中の水蒸気を結露水として取り除かなければなりません。

このときエアコンは、単に空気の温度を下げているだけではありません。
水蒸気を水に変えるためにも、大きなエネルギーを使っています。

そのため、室温がなかなか下がらないうちから、まず除湿のために多くの電気を消費することになります。

「冷房しているのに、なかなか涼しくならない」
「エアコンがずっと強く運転している」
「室外機が止まらない」

こうした状態は、窓から湿った外気を入れ続けていることが原因のひとつかもしれません。

窓を閉めた方が、室内は早く快適になる

窓を閉めて冷房を行うと、室内の空気はエアコンによって少しずつ冷やされ、同時に除湿されていきます。

最初は湿った空気でも、エアコンが運転を続けることで、室内の水蒸気量は徐々に減っていきます。
すると、エアコンから出る結露水の量も少しずつ減り、室温も安定しやすくなります。

一度、室内の空気が乾いてくると、体感温度も下がります。

同じ26℃でも、湿度が高い26℃と、湿度が低い26℃では快適さがまったく違います。
湿度が下がれば、室温を極端に下げなくても涼しく感じやすくなります。

つまり、夏の冷房では、窓を開けて外気を入れるよりも、まず窓を閉めて室内の空気を整えることが大切です。

日本の夏は、建物にとっても過酷な環境

日本の夏の外気は、非常に多くの水蒸気を含んでいますので、この湿った空気が、冷房された室内や、壁の中、天井裏、床下などの冷たい部分に触れると、結露を起こす可能性があります。

目に見える窓ガラスの結露であれば、拭き取ることができます。
しかし、建物の内部で発生する結露は、簡単には気づけません。

壁の中や天井裏で結露が起これば、木材の劣化やカビの発生につながることがあります。
断熱材が湿気を含めば、本来の断熱性能を発揮しにくくなることもあります。

冷房計画を考えるうえでは、単に「部屋が涼しくなれば良い」だけでは不十分です。
湿った外気をどのように入れないか。
入ってきた湿気をどのように処理するか。
そして、建物の中に局所的な冷たい部分をつくらないか。

そこまで含めて考える必要があります。

気密と換気が、夏の冷房効率を左右する

夏の冷房を効率よく行うためには、まず余計な外気を入れないことが大切です。

そのために重要になるのが、住宅の気密性能です。

気密性が低い家では、窓を閉めていても、隙間から外の湿った空気が入り込みます。
せっかくエアコンで冷房・除湿しても、外から湿気が入り続ければ、エアコンは常にその処理をし続けなければなりません。

一方、気密性の高い家では、外気の侵入を抑えることができます。
室内の温度と湿度をコントロールしやすくなり、エアコンも効率よく働きます。

ただし、気密性を高めるだけでは十分ではありません。
人が暮らす以上、換気は必ず必要です。

そこで重要になるのが、計画換気です。

特に夏場は、全熱式の第一種熱交換換気を使うことで、換気によって入ってくる外気の熱だけでなく、湿気の影響もある程度やわらげることができます。

必要な換気量を確保しながら、できるだけ外の暑さと湿気をそのまま室内に入れない。
この考え方が、蒸し暑い地域の冷房にはとても重要です。

少ない換気量で、安定した冷房を行う

冷房時には、必要以上に外気を入れないことが効率につながります。

もちろん、換気を止めるという意味ではありません。
法律上、また健康上、必要な換気は確保しなければなりません。

大切なのは、隙間風や不用意な窓開けによって、計画外の外気を大量に入れないことです。

気密の高い家で、計画された換気を行い、エアコンで冷房・除湿する。
これが、静岡のような蒸し暑い地域では、もっとも効率の良い方法だと考えています。

窓を開けて自然の風を取り入れる暮らしは、春や秋にはとても気持ちの良いものです。

しかし、夏の冷房時には、外気を入れることが必ずしも快適さにつながるとは限りません。

特に湿度の高い時期は、窓を閉めて、室内の空気をしっかり整えることが大切です。

冷房計画は、結露リスクまで考える

夏の家づくりでは、冬の断熱性能だけでなく、冷房時の結露リスクも考えなければなりません。

室内のどこかに局所的に冷たい部分があると、そこに湿った空気が触れて結露する可能性があります。

たとえば、冷房された空気が直接当たる場所。
断熱が弱く、温度差が生まれやすい場所。
空気が動かず、湿気がこもりやすい場所。

こうした部分では、目に見えないところで結露が起こり、少しずつ建物を傷めることがあります。

快適な冷房とは、ただ冷たい風を出すことではありません。

家全体の温度差を小さくし、湿度を管理し、結露を起こしにくい状態をつくること。
それが、建物を長く健康に保つためにも重要です。

まとめ

静岡の夏は、通風よりも湿度管理が大切

パッシブ設計では、太陽の光や風といった自然の力を上手に取り入れることが大切です。

春や秋のように外の空気が心地よい季節であれば、窓を開けて風を通すことは、とても気持ちのよい暮らし方になります。

しかし、静岡の夏は少し事情が違います。
気温が高いだけでなく湿度も高く、外の空気には多くの水蒸気が含まれています。

その空気を冷房中の室内に入れてしまうと、エアコンは室温を下げる前に、まず湿気を水に変えて外へ排出しなければなりません。
結果として冷房効率が下がり、電気代もかかりやすくなります。

つまり、静岡の夏のパッシブ設計は、「とにかく風を通す」ことではなく、地域の気候を読み、外の熱と湿気を入れすぎないことが重要です。

窓を閉め、気密・断熱・計画換気・冷房除湿を組み合わせて室内環境を安定させること。
それが、静岡で快適に暮らすための冷房計画の基本になります。

投稿者プロフィール

伊豆川達也
伊豆川達也宅地建物取引士