地震地域係数のなぞ

2017年10月に施行された新しい静岡県の条例があります。
地震地域係数と呼ばれるものです。

条例を見ると、

建築物の各部分の耐力、変形限度等の基準(平成29年静岡県告示第219号)

① 条例第10条の2第1項の基準としてZ×1.2(=Zs)を定めました
② その他小規模木造建築物については壁量計算でZs相当の割増(1.32倍)を定めました
③ 品確法等級2又は3の場合の適用除外を定めました


地震地域係数の1.2が義務化されると共に、住宅のような小規模木造建築物については壁量計算で1.32となっています。

熊本地震が起きた時この地震地域係数が注目されました。
なぜかと言うと
熊本の地震地域係数が0.8だったからです。

地震が来ないと思われていた九州は、静岡と比べると0.4も値が低い、
すなわち、2/3程度の耐力しか必要とされなかった訳です。

今回の条例で静岡では正式に1.2倍の耐力(国の標準1.0に対して)が義務化され、
木造住宅を壁量計算で確認申請する場合は、1.32倍もの耐力を求められる様になりました。
(許容応力度などの構造計算による場合は木造住宅でも1.2で良い。)

ただし、
条例の③「品確法等級2又は3の場合の適用除外を定めました」によると、
耐震等級2及び3を求める場合はこの「地震地域係数」は加味しないとありますので、
ここで可笑しなことが起こります。🤨

耐震等級1とはすなわち基準法そのものですが、この場合は地震地域係数1.32倍の耐力が求められ、
耐震等級2では適応除外により地域地震係数は1.0のままで1.25倍の耐力が要件となります。
共に壁量計算の場合ですが、耐震等級2の方が耐震等級1よりも壁量が少ないと言う事になり、
実質「耐震等級2は無意味」な基準になるのです。

耐震等級3は1.5なので、まだ多少の優位はありますが、極めて近い数値です。

耐震等級3が標準であるサンキハウスでは、この条例による影響はないので良いのですが、
そろそろ色々ある基準や規制を少し整理して分かりやすいルールにして戴けないかなぁ~と思う次第です。🙏


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