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今から10年後、住宅はどうなっている? ―いま「断熱等級6」を標準にするべき理由―
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、日本の住宅は今、大きな転換期にあります。
では、その途中にあたる2035年頃、私たちの住まいはどのような状況になっているのでしょうか。

おそらく2035年には、
・2025年義務化された水準の住宅(断熱等級4)
は「旧基準」として扱われ
・住宅の性能は当たり前に数値で説明される時代になり
・光熱費や快適性の差が、住宅価値の差として明確に表れる
そんな状況になっていると考えられます。
2026年以降に建てる住宅は、
2035年には築10年に満たない、今だ「現役」の住まいです。
その家が将来どう評価され、どう暮らせるかを考えたとき、
断熱等級6が当たり前の基準として考える意味は、年々大きくなっています。
理由① 2035年には「等級5は最低限」になっている可能性が高い
国は2030年頃までに、新築住宅をZEH水準へ引き上げる方針を示しています。
ZEH水準の断熱性能は、概ね断熱等級5に相当します。
2035年という視点で見れば、
- 等級4:完全に過去の基準
- 等級5:最低限クリアしている水準
- 等級6:余裕をもって評価される水準
という位置づけになる可能性が高いと考えられます。
これから建てる家は、
「今の基準」ではなく、10年後の基準で見て不足しないかが重要です。
理由② エネルギー価格の上昇リスクに最も強い
2035年に向けて、
- 電気料金
- 再エネ賦課金
- カーボンプライシング(炭素に価格をつける仕組み)
など、エネルギーコストは上がりやすい構造にあります。
断熱等級6の住宅は、
- 冷暖房に必要なエネルギー量が少なく
- 設備の性能や電気代の変動に左右されにくい
ため、将来の光熱費リスクを抑える“構造的な対策”になります。
理由③ 家全体の温度差が小さく、暮らしの質が変わる
等級6の断熱性能になると、
- 部屋ごとの温度差
- 廊下や洗面室の寒さ
- 夏の2階や西日の厳しさ
といった問題が大きく改善されます。
「暖かい・涼しい」というより、
家のどこにいても温度差を感じにくい状態になることが、
等級6の大きな価値です。
これは、日々の快適性だけでなく、
ヒートショックのリスク低減など、健康面の安心にもつながります。
理由④ 空調計画の自由度が高まり、家がシンプルになる
断熱性能が高い住宅では、
- 大きな暖房能力を持つ設備が不要になり
- 小容量エアコンで家全体をまかなえる
- 床下エアコンや小屋裏エアコンといった計画も成立しやすい
など、空調計画の選択肢が広がります。
結果として、
- 設備がシンプル
- メンテナンスがしやすい
- 将来の設備更新にも柔軟に対応できる
という、長く住むほどメリットが出る家になります。
理由⑤ 補助金・金融・評価制度との相性が良い
今後の補助金や住宅評価制度は、
- ZEH
- GX志向型住宅
- 環境配慮型住宅ローン
など、より高性能な住宅を優遇する方向に進んでいます。
等級5が「条件」になったとき、
等級6は「評価される側」に立ちやすく、
制度変更の影響を受けにくい性能と言えます。
理由⑥ 2035年以降の中古市場でも価値を保ちやすい
2035年には、住宅性能の説明責任がさらに強まり、
- 断熱等級はいくつか
- いまの基準で通用する性能か
といった点が、当たり前に問われるようになります。
等級6で建てた住宅は、
- 「当時としては高性能」ではなく
- 「今でも通用する性能」
として評価されやすく、
資産価値の低下を抑える要素になります。
理由⑦ 断熱性能は、後から取り戻せない性能だから
断熱性能は、
- 建てた後に上げることが非常に難しく
- 設備のように交換で解決できません。
2026年時点で等級6にするためのコストは、
- 一生使う外皮性能
- 快適性と光熱費の両方に効く
- 将来の制度・社会変化への備え
に使われる投資です。
後から後悔しにくい性能という点で、
断熱等級6は非常に合理的な選択と言えます。
まとめ
2035年を見据えるなら、等級6は「先進」ではなく「現実的」
2026年以降に建てる新築住宅は、
2035年にはまだ新しい住まいです。
その時代に、
- 性能不足を感じず
- 光熱費に悩まされず
- 快適に、安心して暮らし続けられる
そんな住宅であるために、
断熱等級6をひとつの基準として考えることは、
決して特別な選択ではなくなりつつあります。
「いまの基準」ではなく、
これからの暮らしに耐えられる基準として。
等級6は、その現実的な答えのひとつです。
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