同じ震度7でも被害状況は異なる
能登半島地震から3ヶ月が経ちました。
建物の被害に関する調査が行われ、解析が進んでいます。
その中で、興味深い研究を見つけましたので紹介します。
能登半島地震で被害の大きかった穴水町には地震計が設置されていて、
その時の地震の最大震度7が観測されています。
また、能登半島の西端に位置する富来町(志賀町の北部)にも地震計があり、
震度7を観測したとの報告があります。
ところがこの二つの地域を比べると建物の被害状況に差があります。
同じ震度7でも地震による建物の被害に違いがあるようです。
被害状況について行政からの詳しい報告はまだありませんが、
国土技術政策総合研究所が速報を出しているのでその資料を参考に状況を見て行きましょう。
(※ 国土技術政策総合研究所の報告書の元データはこちら →)
まず志賀町です。
続いて穴水町
オマケとして、
2×4工法の住宅についてのレポートもありましたので、掲載します。
2×4(枠組壁)工法の住宅は被害がなかった様ですね。
穴水町と志賀町が共に震度7であったにも拘わらず、建物の被害には差があります。
それについて解析を行っている研究者がいます。
倒壊解析ソフトウェア「wallstat」の開発者、京都大学の中川貴文准教授です。
マニアックな内容ですがお付き合いください。
共に震度7の地震波を記録しているK-NET穴水とK-NET富来ですが、
その速度応答スペクトルを比較すると、大きな違いがあります。
速度応答スペクトルとは地震で一番揺れる周期をグラフで表したものです。
分かりやすい例として長周期地震動があります。
高層ビルが揺れる地震動は非常に周期の長い地震動と言われています。
イメージとしては
建物の高さと柔らかさによって、地震の波形に共振する周期が違います。
この事を建物の固有周期と言います。
木造住宅の固有周期は1~2秒と分かっていて、キラーパルスと呼ばれています。
穴水町と志賀町では地震の揺れ周期が違っていました。
K-NET穴水が1~2秒辺りに速度応答があるのに比べ、
K-NET富来は0.5秒以内にそのピークがあります。
周期が短いK-NET富来の近隣である志賀町の建物被害が少なかった事と一致しますね。
今までの大地震で、速度応答スペクトルが1~2秒にピークのある地震に
熊本地震の益城町:震度7があります。(上記グラフの赤色点線)
【参考】 阪神淡路大震災:震度7(上記グラフの青色実線)
木造住宅の固有周期とぴったり合ってしまった地震動なので、被害も大きかったのです。
これらの解析から、速度応答1~2秒の周期を避けるような建物即ち、
「建物を軽く硬く造る」と地震に有効である事が解ります。
そして、軽く硬く造るのに最適なのは、6面体モノコック構造である2×4工法。
上記レポートでも枠組壁工法(2×4工法)の住宅に被害がなかったことも納得ですね。☘️
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