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また1棟、2重屋根通気工法で建設中 ~快適性と耐久性を高める屋根づくり~

近年、地球環境の高温化が進み、屋根まわりの通気計画がこれまで以上に重要になっています。
そこで注目されているのが、「2重屋根通気工法」です。

2重屋根通気工法の基本的な考え方

2重屋根通気工法とは、屋根を文字通り「2重構造」にし、その間に通気層を設ける工法です。
この通気層があることで、屋根内部にこもりやすい熱や湿気を効率良く外部へ排出でき、住宅の快適性と耐久性を大きく向上させます。

夏の効果:屋根裏の熱を外へ逃がす

夏場、屋根材は強い日射を受け非常に高温になります。
2重屋根通気工法では、熱せられた空気が通気層を通って自然に上昇し、棟部分から排出されるため、屋根裏の温度上昇を抑制します。

その結果、

  • 室内への熱の侵入を軽減
  • 冷房効率の向上
  • 小屋裏環境の改善

といった効果が期待できます。

冬の効果:結露を防ぎ、構造を守る

冬場は放射冷却によって屋根表面が冷やされ、内部結露が発生しやすくなります。
2重屋根通気工法では、屋根内部の湿気を常に外へ逃がすため、結露の発生を抑え、構造材の腐朽やカビのリスクを低減します。

断熱性能を長期間維持できる理由

断熱材は湿気を含むと性能が低下します。
2重屋根通気工法により屋根内部を乾燥状態に保つことで、

  • 断熱材の性能低下を防ぐ
  • 屋根材・野地板の耐久性向上

につながり、住宅全体の断熱性能を長く維持することが可能になります。

雨音対策としての副次的効果

屋根が2重構造になることで、雨音が直接室内へ伝わりにくくなります。
特に金属屋根などでは、静かな室内環境づくりにも効果を発揮します。

【施工中写真のご紹介】2重屋根通気工法の実際の工程

現在建設中の新築住宅では、この2重屋根通気工法を採用しています。
ここからは、実際の施工途中の様子を写真とともにご紹介します。

2重屋根通気工法は、完成後には見えなくなる部分ですが、住宅性能を左右する非常に重要な工程です。
今回は、現在施工中の現場にて、
1枚目の野地板 → タイベックシルバー → 通気胴縁 → 2枚目の野地合板
という構成がどのように作られているのかを、写真でご紹介します。

(1)1枚目の野地板の上にタイベックシルバーを全面施工後、通気胴縁(厚み3cm)を施工
→ 防水性・遮熱性を高め、屋根内部を健全な状態に保ちます。

1枚目の野地合板の上にタイベックシルバー施工、その上に胴縁を敷く

(2)通気胴縁の上に2枚目の野地合板を施工
→ 屋根を2重構造とし、断熱・耐久・遮音性能を高めます。

2枚目の野地合板を張る
頂点の空いている所に棟換気部材が付く
屋根施工時に頂点のライナールーフを外す

見えない部分こそ、家の性能を決める

2重屋根通気工法は、完成後には見えなくなる工法です。しかし、

  • 夏の暑さ
  • 冬の結露
  • 断熱性能の持続
  • 住宅の寿命

これらすべてに大きく関わる、住まいの根幹を支える工法です。

「長く快適に住み続けられる家」を実現するためには、こうした見えない部分への配慮こそが最も重要だと私たちは考えています。

投稿者プロフィール

伊豆川達也
伊豆川達也宅地建物取引士