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断熱等級6と7、どちらが静岡の家づくりに最適?―冷暖房費と建築コストを徹底比較
近年、断熱性能等級6や7といった高断熱住宅に注目が集まっています。2027年度には新しいZEH基準も導入予定で、これから家づくりを考える方にとって「どの断熱等級を選ぶべきか」は重要なテーマです。
ただし、静岡市のように比較的温暖な地域では「本当に等級7まで必要なのか?」という疑問も出てきます。今回は、弊社の聖一色モデルハウスを基準に、断熱等級6と7を比較し、冷暖房費と建築コストのバランスを検討しました。
聖一色モデルハウスの位置づけ ― “等級6.5相当”の性能
対象としたのは、弊社の注文住宅仕様である聖一色モデルハウスです。ツーバイシックス(2×6)工法、樹脂サッシのトリプルガラス、熱交換型24時間換気システムを備えた高性能住宅です。
このモデルハウスのUA値は0.36。これは、断熱等級6の基準値0.46と、断熱等級7の基準値0.26のちょうど中間に位置します。
分類上は等級6になりますが、実際には“等級6.5相当”と呼べる性能を持ち、静岡の気候においてはバランスの取れた仕様といえます。
比較条件
シミュレーションには「ホームズ君 省エネ診断エキスパート」を使用。
- 冷房:各階に6畳用エアコンを1台ずつ
- 暖房:床下に14畳用エアコン(200V)を1台設置
- 目標室内環境:冬18℃以上、夏26℃以下・湿度60%以下
家全体を一体的に空調する条件で、年間冷暖房費を算出しました。
シミュレーション結果

断熱等級6(UA値0.36)
聖一色モデルハウス
- 暖房費:30,580円
- 冷房費:16,503円
- 年間合計:47,083円
断熱等級7(UA値0.26)
- 暖房費:19,977円
- 冷房費:17,688円
- 年間合計:37,665円 年間の差額は約9,400円でした。
年間を通じて冷暖房を稼働させた場合のシミュレーション結果を見てみましょう。
聖一色モデルハウス(断熱等級6、UA値0.36)の場合、暖房費は30,580円、冷房費は16,503円で、年間合計は47,083円でした。
一方で、断熱性能をさらに高めて等級7相当仕様(UA値0.26)とした場合は、暖房費が19,977円、冷房費が17,688円となり、年間合計は37,665円。差し引きすると、年間で約9,400円の光熱費削減となる結果でした。
ただし、注意すべき点があります。断熱等級7にすると暖房費は下がるものの、夏の冷房費はむしろ増えているのです。
この結果は、近年の猛暑や記録的な高温を踏まえると、今後さらに夏季の冷房コストが増大する可能性を示唆しています。
建築コストとの関係
等級7仕様にするためには外壁や屋根の断熱材をさらに強化する必要があります。
- 外壁:高性能グラスウール16K 140mm+ネオマフォーム45mm(付加断熱)
- 屋根:高性能グラスウール16K 140mm+ネオマフォーム90mm
この仕様強化にかかる追加費用は約145万円(税抜)。
年間約1万円の冷暖房費削減を前提にすると、投資回収には145年を要する計算になります。
結論 ― 静岡に最適な断熱等級とは
比較の結果、静岡市のような温暖地域では、断熱等級7にしても冷暖房費削減効果は小さく、費用対効果は低いことが分かりました。
一方、聖一色モデルハウスのUA値0.36は、等級6と7の中間に位置し、“6.5相当”といえる性能を持っています。つまり、コストと快適性の両立という点で、静岡における最適解ともいえる仕様なのです。
過度な高断熱仕様にこだわるよりも、地域に合った“ちょうどいい断熱性能”を選ぶことが、経済性と住み心地の両面で賢い選択になるでしょう。
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