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「現場発泡ウレタン断熱ってどうなの?」プロが語るメリットと注意点

静岡市で41.4℃!歴代2位の猛暑日を記録してしまいました。
こんな日は、できるだけ涼しい家の中で快適に過ごしたいものですが、気になるのがエアコンの電気代。
近年、温暖化の影響で夏の暑さはますます厳しさを増しており、「断熱性能」は家づくりにおける欠かせない要素になっています。

中でも最近よく使われているのが、現場で吹き付けて施工する「発泡ウレタン断熱材」。
断熱性と気密性を同時に高められる優れた素材として知られていますが、実はあまり語られない注意点もあるのです。

今回はプロの視点から、「ウレタン断熱の本当のところ」をわかりやすくお伝えします。

現場発泡ウレタン断熱の“ここが強い”【メリット】

① 高断熱・高気密を同時に実現

現場で吹き付けて発泡させるため、柱や間柱の隙間にもぴったり密着。断熱と同時に気密性も高くなり、省エネ効果が期待できます。

② あらゆる形状に対応できる

変形した空間や狭い部分でもムラなく充填しやすく、均一な断熱層を形成可能。吹き付けるだけなのでスピーディな施工も魅力です。

③ 経年によるズレやたわみが少ない

硬化後のウレタンは構造材に密着し続けるため、長年にわたって安定した状態を維持しやすいとされています。

しかし、こんな落とし穴も【デメリット】

⚠️ 配線・配管の後施工が困難

一度硬化したあとは簡単に削れず、コンセントの位置変更や電気配線の追加などが非常に手間になります。リフォームの自由度は低めです。

⚠️ 電線に密着すると発熱の恐れ

VVFケーブルなどにウレタンが密着すると熱がこもり、最悪の場合は発火のリスクも。200V系の配線は特に注意が必要です。

⚠️ 燃えると有毒ガスが発生する可能性

可燃性の素材であるため、石膏ボードなどで確実に被覆しないと、火災時に有毒ガスが発生するおそれがあります。

⚠️ 湿気・雨漏りに気づきにくい

吸放湿性があまりないため、壁内部で雨漏りや結露があっても発見が遅れがち。カビや構造材の腐朽につながるリスクがあります。 しかし透湿性がゼロではないため、室内側に気密シートが必要です。

⚠️ 厚みの均一化が難しく、カット部分がゴミに

現場吹き付けでは断熱材の厚みが均一にならず、柱間からはみ出した分をカットする必要があります

しかし、壁の厚みいっぱいに断熱材を施工すると、大量のウレタンごみが発生します。計画的な施工をしないとロスが増え、資源の無駄遣いやコスト増にもつながります。

その為、出来るだけカットしないよう柱間からはみ出さない7割吹きが主流です。しかし、この方法だと、壁の厚みいっぱいに吹き付ける事ができないため、断熱性能が低めの壁になってしまいます。

⚠️ 長期的には性能が落ちることも

飛び出した部分をカットするとスキン層がなくなるので、発泡ガスが抜けやすくなり、長期的に見ると断熱性能が低下する可能性も。築20〜30年後に、断熱材の痩せなどで補修が必要になることもあります。

グラスウールとの比較で見えてくる選択のヒント

比較項目現場発泡ウレタン高性能グラスウール
断熱性○ 中程度(ただし、厚みが同じなら)○ 中程度
気密性○ 吹き付けで高気密△ 別途気密施工が必要
防火性△ 可燃性あり◎ 不燃材で安全
湿気への耐性○ 湿気を通しにくい△ 湿気を貯めやすい
リフォーム性× 困難◎ 配線変更もしやすい
廃棄ロス△ 発泡調整が難しくゴミに◎ 施工時のロスが少ない
耐久性△ 劣化の可能性あり◎ 長期実績が豊富
コスト△ やや高め○ コストを抑えやすい

ウレタンは初期性能こそ高いですが、「安全性」や「将来の変更のしやすさ」ではグラスウールのほうが優れている場合もあるのです。

結論:素材選びに“絶対”はない。大切なのは適材適所。

ウレタン断熱は、断熱性能も気密性も申し分ない素材です。しかし、「電気設備」「施工管理」「長期的メンテナンス」まで含めて考えないと、後から困ることもあります。

一方、グラスウールは昔ながらの素材ですが、現在でも技術革新による新製品が発売されていて、適切な施工と管理をすれば長寿命でコスト的にも優れています。

どちらを選ぶかは、「将来のリフォーム性を重視するか」「コストパフォーマンスを優先するか」「施工の難易度はどうか」など、ケースバイケースになってきます。

当社のスタンス:素材ありきではなく、“暮らし”起点の提案を。

私たちサンキハウスでは、断熱材を単独で決めることはありません。お客様のライフスタイル・家族構成・将来の住まい方を踏まえて、最適な断熱仕様をご提案しています。

ご相談は無料ですので、「どれを選べばいいのか分からない…」という方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

伊豆川達也
伊豆川達也宅地建物取引士