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壁の中を風が通る!?「気流止め」で守る、長持ちする家

暑かった夏がようやく過ぎ、朝晩の空気に少しずつ秋の気配を感じるようになりました。
とはいえ、最近の日本は春や秋が短く、長い夏と冬がすぐにやってくるような気がします。さて、今年の冬はどんな寒さになるのでしょうか。

「静岡は温暖な気候」と言われますが、実際に冬を過ごしてみると、家の中が意外と寒いと感じる方も多いはずです。特に2000年以前の住宅では、床からの冷え込みが強く、「底冷えする家」と言われることも珍しくありません。

この“床の冷たさ”には明確な原因があります。しかも、その問題は現代の新築住宅でも、正しい施工がされていなければ起こり得るのです。

そのカギを握るのが――「気流止め(きりゅうどめ)」。
壁の中を通り抜ける冷たい空気を防ぎ、住まいを快適に、そして長持ちさせるための重要な施工です。

気流止めとは? その役割と目的

気流止めとは、壁の中を空気が自由に流れないようにするためのストッパーです。
床下から壁の中、そして屋根裏へと空気が通り抜けるルートを遮断し、
建物内部の温度環境を一定に保つ役割を果たします。

たとえば、冬の冷たい空気が床下から壁内へ流れ込むと、
壁の中で、暖かい室内からの温度とぶつかり、結露を引き起こします。
この結露が木材の腐食やカビの原因となり、家の耐久性を大きく損なうのです。

なぜ「気流止め」が重要なのか

家の断熱性能は、断熱材そのものの性能だけで決まるわけではありません。
どれだけ気密が保たれているか――つまり、「空気の通り道をどこまで塞げているか」が大きく関係します。

気流止めがしっかり施工されていれば、
・壁内での空気の循環がなくなる
・断熱材が本来の性能を発揮できる
・内部結露を防ぎ、構造体の劣化を防ぐ
といった効果が得られます。

逆に言えば、いくら高性能な断熱材を使っても、
気流止めがない家では「断熱の穴」が開いているのと同じです。

根太と根太の間の隙間から、床下の空気が壁の中を吹き抜けてゆく

気流止めの施工方法

気流止めのやり方にはいくつかの方法があります。
住宅の構造やリフォーム内容によって、最適な施工が選ばれます。

  1. 木材を使う方法
    壁の下部と上部に木材を組み込み、空気の通り道を物理的に遮断します。
  2. 気密テープを使う方法
    小さな隙間や継ぎ目を気密テープでしっかりと封止します。
  3. 袋入り断熱材を使う方法
    壁の上下に断熱材を詰めることで、空気の移動を防ぎます。
  4. 発泡ウレタンフォームを使う方法
    発泡剤を隙間に充填して気密性を高める、最も高価な方法です。

これらの施工を適切に組み合わせることで、
壁内の気流を完全にシャットアウトし、
家全体の断熱性能を飛躍的に向上させることができます。

特に新築時に行う施工方法「1.木材を使う方法」について画像で説明します。

根太の上に床合板を敷き、柱間の隙間を木材で埋める
すべての柱と柱の間に木材で蓋をして気流を止める

まとめ:快適で長持ちする家は「見えないところ」で決まる

気流止めは、普段の生活では見えない部分ですが、
家の快適性と耐久性を左右する非常に重要な要素です。

とくに静岡のように冬は冷え込み、夏は湿気の多い地域では、
気流止めの有無が「結露する家」と「快適に長持ちする家」の分かれ道になります。

新築だけでなく、リフォームでも気流止めの施工は可能です。
断熱改修を検討される際には、ぜひ“壁の中の空気”にも目を向けてみてください。

投稿者プロフィール

伊豆川達也
伊豆川達也宅地建物取引士