スタッフブログ

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「建売住宅」と「注文住宅」―実はこんなに違う!

〜同業他社さんとの情報交換を通して見えてきたこと〜

仕事柄、住宅業界の団体に参加する機会があります。たとえば弊社では「新木造住宅技術研究協議会(新住協)」や「性能向上リノベの会」、「静岡県インテリアコーディネーター協会(Sic)」、「静岡県宅建協会」などに加盟しています。技術革新や法規制、製品情報のアップデートが主な目的ですが、同業他社さんとの情報交換も貴重な学びの場です。

とはいえ、実際の技術や営業手法まで踏み込んだ話はなかなかできないもの。そんな中で、建売住宅を主に手がけるS社様から「情報交換しませんか?」というお声がけをいただき、S社様の取り組みを詳しく伺うことができました。弊社のような注文住宅との違いに、改めて多くの気づきがありました。


「みんなに合う家」vs「あなただけの家」

建売住宅は“たくさんのご家族”に受け入れられるよう設計されます。流行やトレンドを上手に取り入れても、どうしても同じような家になってしまいがちです。S社様は「収納の多さ」で他社様の建売住宅とは差別化をしているそうです。一軒一軒ごとの個性は出せなくても、S社様の建売住宅としての特徴の打ち出し方は参考になります。

注文住宅はお客様一人ひとりの想いや暮らし方に合わせて家づくりが進んでいきます。たとえば和風・北欧風・南欧風・シンプルモダン――外観も内装も思いのまま。敷地の条件や家族構成に応じて、オンリーワンの住まいを一緒に描いていけるのが魅力です。


コストとの付き合い方のちがい

建売住宅では“ちょっと頑張ったら手が届く価格”に抑えることが何より重要だそうです。お洒落な建材や個性的な造作も、価格を押し上げてしまうようであれば選ばない――それが正解になる世界。無理のない価格で一定の品質を保つバランス感覚が大切です。

注文住宅ももちろん予算管理は重要です。ただ、お客様ごとに価値観や優先順位が異なるため、「本当に必要な部分にはコストをかける」という選択ができるのも強みです。結果的にコストアップになっても、「あのときちゃんと提案してくれて良かった」と感じていただけるご提案を大切にしています。


素材に込めた想い

建売住宅ではお客様と直接会って説明する機会が限られています。S社様では自然素材の風合いよりもメンテナンス性や安定供給を重視されており、フローリングもシート仕上げが基本とのこと。「有名メーカーの建材」=「安心」というわかりやすい基準で建材を選ぶ姿勢にも納得感がありました。

注文住宅では自然素材も選択肢に含まれます。無垢材や突板などを扱う際には、経年変化や扱い方についてのご説明が必要です。使い手と対話ができるからこそ、そうした素材も選び愛着を持って使っていただけるのだ、改めて感じました。

そしてサンキハウスの建材選定基準は「価格以上に価値のある建材」です。それ見つけることを日々の大切な仕事のひとつとしています。


安心感のかたち

建売住宅の良さのひとつは、実際に建った家を見て選べること。間取りや仕上がり確認できるのは大きな安心材料です。反面、建築中の構造や断熱など“見えない部分”の確認は難しく、施工を担当した会社が誰なのか知らされないことも、珍しいことではありません。

注文住宅の場合、何もない更地からお客様と一緒に家づくりがスタートします。イメージ通りに仕上がるのかご不安もあるからこそ、打ち合わせや現場での確認、進捗共有などを通して“信頼関係”を築いていくことが何より大切。構造や断熱なども工事中に見ていただけるのは、私たちにとっても大きな強みです。


どちらが正解、ではなく

土地や立地を重視し、なるべく手間なく住まいを決めたい方には建売住宅が合っているかもしれません。一方で、家族の暮らし方にフィットした“たった一つの住まい”を大切にしたい方には、注文住宅という選択肢があります。

どちらもお客様にとってとても大切な「住まい」に携わる仕事ですが、お客様の声に耳を傾け、細やかなご要望を形にしていく注文住宅は改めて、造り手にとってもやりがいのある仕事だと感じました。


今回のS社様との情報交換は、普段の仕事では得られないたくさんの気づきを与えてくれました。改めて、自分たちが大切にしていることや、強みにしていきたいことを見つめ直すきっかけにもなりました。

S社様、貴重なお時間を本当にありがとうございました。

投稿者プロフィール

伊豆川佳世子
伊豆川佳世子二級建築士・インテリアコーディネーター