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サーモカメラで「見える化」する断熱・気密検査

はじめに|断熱・気密は「完成後」では見えません

断熱性能や気密性能は、
住み始めてから「なんとなく暖かい」「少し寒い気がする」など、
体感で語られることが多いクレームと言われています。

しかし実際には、

  • どこか一部だけ断熱材が欠けている
  • 気流止めが効いていない
  • 配線・配管まわりにわずかな隙間がある

といったごく小さな施工のミスが、
家全体の快適性や耐久性に影響を与えているかも知れません。

そこで有効なのが、
サーモカメラ(サーモグラフィ)を用いた断熱・気密検査です。

サーモカメラ検査とは何をしているのか

サーモカメラは、建物の表面温度の違いを色で可視化する機器です。

室内外に温度差がある状態で、

  • 天井
  • 開口部や取り合い部

を撮影することで、
断熱欠損や外気侵入の兆候を視覚的に確認できます。

数値や図面では見えない
「実際の建物の状態」を把握できる点が最大の特徴です。

図面通りでも、現場は“完全”とは限らない

どれだけ丁寧に設計し、
どれだけ経験のある職人が施工しても、

  • 断熱材のわずかなズレ
  • 配線・配管の取り合い
  • 現場判断によるミス

などが、完全にゼロになることはありません

重要なのは、

施工ミスを責めることではなく
「完成前に気づける仕組み」を持っているかどうか

サーモカメラによる検査は、
現場の“最終確認”として非常に優れたツールです。

サーモカメラで分かること/分からないこと

分かること

  • 断熱欠損の有無・位置
  • 外気侵入が疑われる温度ムラ
  • 開口部・取り合い部の弱点
  • 施工状態の「傾向」

分からないこと

  • 気密性能の数値(C値そのもの)
  • 将来の劣化予測
  • 見えない所(内部)のすべて

つまりサーモカメラは、
万能ではないが、非常に優秀な“目”です。

【実例】サーモカメラで見つかった断熱欠損

ここで、実際の検査で確認された例をご紹介します。

一見すると、
断熱工事は問題なく完了しているように見えました。

しかしサーモカメラで壁面を確認すると、
一部だけ周囲より明らかに高温(日差しが当たっていて)になっている箇所がありました。

原因を確認すると、

屋根形状に沿って断熱材が一部必要

屋根が複雑に影響し、壁の一部に無断熱の場所が、といった目視では気づきにくい部分でした。

もしこのまま内装工事が進んでいれば、
完成後に手を入れることは難しくなります。

検査によって早期に気づけたことで、
内装前に是正し、性能を本来の状態に戻すことができました。

「数値が良い=安心」ではない理由

C値やUA値といった性能値は、
家全体を平均化した結果の数値です。

しかし、実際の暮らしの中で感じるのは、

  • 足元が冷える
  • 特定の壁だけ冷たい
  • 結露が起きやすい場所がある

といった局所的な現象です。

サーモカメラは、
この「局所」を捉えることができます。

  • 数値で合格しているか
  • 実際に設計通りの性能になっているか

この2つは、必ずしも同じではありません。

検査の目的は「不安をなくすこと」

サーモカメラ検査の一番の価値は、
不具合を見つけることそのものではありません

  • 問題がなければ、それを確認できる
  • もしあれば、内装前に直せる
  • 施主と施工側が同じもの(性能)を共有できる

この「共通認識」が生まれることが、
大きな安心につながります。

性能は、信頼とセットで初めて意味を持つ。
私たちはそう考えています。

まとめ|性能を“言葉”ではなく“状態”で確認する

高断熱・高気密住宅が当たり前になりつつある今、求められているのは

  • スペックの高さではなく
  • 施工された性能の確かさ

サーモカメラを使った断熱・気密検査は、
その確かさを目で見て確認できる数少ない方法です。

見えないものだからこそ、
見える形で確かめる。

それが、長く快適に住める家づくりへの
大切な一歩だと私たちは考えています。

投稿者プロフィール

伊豆川達也
伊豆川達也宅地建物取引士