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金属屋根の裏にある「断熱材」って、何のため?本当の役割とは
家づくりで「一番大切な部材は?」と聞かれたら、ほとんどの方が「構造材(木材)」と答えるでしょう。
確かにそのとおりで、建物を支える骨組みなしに家は成り立ちません。
でも、それに次いで大切な部材があるとしたら——
私は迷わず「屋根材」だと答えます。
屋根は、強い日差しや雨、風、雪から何十年にもわたって私たちの暮らしを守ってくれる存在。
外壁と同じく建物を外部から保護する役目を担っていますが、特に屋根はもっとも過酷な自然環境にさらされている部位です。

屋根はメンテナンスが大変…だからこそ金属屋根が選ばれている
屋根材は家を守る大切な役割を担っていますが、そのぶんメンテナンスは簡単ではありません。
高所での作業になるため、安全対策にも費用がかかり、手間もかかるのが現実です。
かつては「カラーベスト(窯業系スレート)」が主流でしたが、
- アスベスト(石綿)含有による健康リスク
- 経年劣化による色あせや美観の低下
- 重いことで地震時の安全性に不安が残る
といった課題がありました。
こうした背景から、軽くて扱いやすく、耐久性にも優れた※金属屋根材が次第に選ばれるようになりました。(※金属屋根材のシェアは約70% → 詳しくはこちら)
現在では、新築にもリフォームにも多く使われる定番の屋根材となっています。
金属屋根には2種類ある
現在の金属屋根は、大きく分けて以下の2種類に分類できます。
- 施工業者がロール状の鋼板を自社工場で加工して施工するタイプ
- メーカー製の成型済み屋根材を使用するタイプ
このうち、後者のメーカー製屋根材の多くに採用されているのが、「裏打ち断熱材」です。
実はこの断熱材、名前に“断熱”とついていながら、屋根断熱そのものを担っているわけではありません。では、いったい何のために貼られているのでしょうか?
裏打ち断熱材の3つの役割
① 結露の抑制(最も大事な目的)
金属屋根は熱伝導性が高いため、外気温の変化に敏感に反応します。特に夜間や冬季は、屋根の外と内で大きな温度差が生まれ、内部に湿気があると結露が発生しやすくなります。
この結露を防ぐため、裏打ちされた断熱材が屋根材の冷えすぎを抑え、表面の結露発生を抑制する役割を果たしているのです。
② 遮音性の向上
金属屋根のもうひとつの弱点は、「雨音や風音が響きやすい」という点。
裏打ち断熱材は屋根材の振動を抑え、打撃音を吸収するクッションのような役割を果たし、住まいの快適性を向上させています。
③ 断熱効果(ただし限定的)
「断熱材」と名が付いている以上、当然断熱効果もあります。ただし、厚みが薄く、屋根材と野地板の間にあるため、家の室内温熱環境に直接大きな影響を与えるものではありません。
とはいえ、次のような補助的な効果は期待できます:
- 金属屋根からの熱の伝導を若干抑える
- 夏場の屋根表面の輻射熱をカットする
裏打ち断熱材だけに頼らず、きちんと屋根断熱を!
ここまでの内容からも分かるように、「裏打ち断熱材は結露と遮音のための“機能性パーツ”」と考えるのが正解です。
「裏に断熱材があるから屋根断熱は大丈夫」と思い込んでしまうと、夏の暑さ・冬の寒さに悩まされることになりかねません。
屋根断熱や天井断熱は、別途しっかりと計画・施工することがとても重要です。☘️
☆★☆サンキハウス施工事例☆★☆
投稿者プロフィール

- 宅地建物取引士
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