許容応力度で計算されたスパン表
前回の記事「ツーバイフォー(2×4)住宅、全国で300万戸」でツーバイフォー(2×4)工法は、
オープン化から46年経って、日本の木造構法の一翼を担っていると話しました。
当時、外国の工法を広く一般が使えるように開放する事にはかなりの抵抗があり、
当事者だった故鵜野日出男さんが当時のスッタモンダを綴った著作があります。
鵜野さんは、現役を引退した後も個人ブログで日本の高性能住宅について
亡くなる直前まで情報発信を続けていらっしゃいました。
私も以前から時折ブログを読んで、自社の住宅ビジネスの参考にさせて戴きました。
(今も存在している鵜野氏のブログ → こちら)
ブログ記事の中でもこの本「高気密住宅奮戦記」の事が書いてあり、
古い本で廃刊になっていましたが、古本で手に入れ読んでみました。
今では、当たり前ですが当時は仕様書的なものがなく、大工さんの勘と経験で
住宅を建てている中、ツーバイフォー(2×4)は住宅金融公庫の仕様書という図解付きの工法説明が
必要となり、それを作成するのが大変だったと書かれています。
特にスパン表と言われる、横架材等の長さ(支点から支点迄の距離)を表形式で
示した資料ですが、前例がなく大変苦労したと書かれています。
しばらく前までは、ツーバイフォー(2×4)のフラット35仕様書にスパン表がありました。
これは、この時(46年前)に作られた物が始まりだったのでしょう。
条件を色々揃えて、許容応力度計算をして求めたと考えられます。
これは梁のスパン表ですが、これ以外に根太、垂木、まぐさなどがあります。
また、梁と根太は上部構造や周りの構造によって色々なバリエーションがあり、
それ自体で何十ページにもなってしまうボリュームがあります。
全ての組み合わせを先に用意するのは現実的でないので、条件に当てはまらない場合は、
一ランク上の数値を使うなど、運用で安全側に振る事で対応していました。
現在のツーバイフォー(2×4)フラット仕様書にはスパン表はありません。
今は計算ソフト(らくわくなど)を使って個別に許容応力度で計算して求めます。
間取りの違い、上部構造の違いで瞬時に最適な断面が選ばれる現在は高度なシステムに昇華しました。
でも、46年も前に日本では前例のないスパン表を用意して、間取りに合った断面を示していた2×4工法。
大工さんの勘と経験で断面を決めていた当時の在来工法とは違う科学的なアプローチがあったことが驚きです。☘️
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