2×4工法と許容応力度計算
2025年4月(あと2日後)から建築基準法が大きく改正されます。
今回の改正ではいくつかの変更点がありますが、中でも
「4号特例の縮小」は、当社が主に取り扱う木造住宅に大きな影響を与えます。
特に、屋根に設置する太陽光パネルや多重ガラスの窓に
よる建物の重量増加に対応するため、構造の根拠を提出することが必須となりました。
つまり、構造の計算が必要になるということです。
許容応力度計算と壁量計算
構造の計算方法として「許容応力度計算」があります。
これは専門の構造設計者に依頼して計算するのが一般的です。
(専用のソフトウェアを購入し、自社で計算することも可能ですが、難易度が高いです。)
ただし、今までの方法が無くなるわけではありません。
「壁量計算」と呼ばれる方法を用いることで、品確法に基づく耐震等級3を取得できます。
「品確法の耐震等級3」という表現は、「許容応力度計算による耐震等級3」と区別するために使われています。
ただし、国はどちらも同じ「耐震等級3」の住宅として扱います。
2×4工法と壁量計算の相性
2×4(ツーバイフォー)工法は、日本語で「枠組壁工法」と呼ばれる工法です。
簡単に言うと、木質パネルを組み合わせて建物を作る方法です。
この工法では、壁・床・天井などをパネル化し、それらを組み合わせて6面体の箱を作ります。
この様に作られた6面体をさらに組み合わせることで建物全体を構成します。
部材は標準化され、強度も明確に定められています。
また、配置のバランスや開口部の大きさにもルールがあり、力の伝達や構造解析がしやすい特徴があります。
そのため、適切な位置に必要な量の壁を配置することで、高い耐震性能を確保できます。
適切な位置に必要な量の壁を配置すること = 壁量を計算すること
つまり、2×4工法は壁量計算と非常に相性が良いのです。
建築基準法改正による壁量計算の変更点
今回の改正では、壁量計算もより厳格化され、以下のような点が変更されます。
1.壁量計算の際に、床面積に乗ずる数値を建物ごとに適用する
2.壁倍率の上限を5倍から7倍に引き上げる
3.垂れ壁や腰壁も条件次第で準耐力壁として認める
この改正に対応するため、2×4工法向けの計算ソフト「らくわくVer2」がリリースされました。
実際に使用したところ、操作性が良く、大きな影響もなくスムーズに適用できました。
(らくわくは壁量計算で間取りを解析しますが、個々の梁や根太、基礎構造は許容応力度計算を行っております。)
在来工法の場合
一方、在来工法では、
多くの異なる部材を自由に組み合わせるため、建物全体の強度を正確に把握するには詳細な解析が必要です。
そのため、在来工法では「許容応力度計算」が必須になってきます。
(壁量計算による方法も残されておりますが、柱の小径算定など新たな基準が設けられより複雑になりました。)
今回の改正により、2×4工法と壁量計算の相性の良さが改めて確認されました。
一方で、在来工法ではより綿密な構造計算が求められることになるでしょう。☘️
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